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2009年メジャーリーグ

 

オールスター
80回目を迎えた今年のオールスターゲーム、オバマ大統領の始球式など話題の尽きないオールスターとなった。 マリナーズからはイチロー選手、ヘルナンデス投手が出場、またワカマツ監督もコーチとして選出された。 セントルイスを本拠地とするカージナルスのプホルス選手がナショナルリーグの顔であったならば、アメリカンリーグの顔は間違いなくイチロー選手であっただろう。 9年連続のオールスター出場となった今年、M.ラミレス選手(ドジャース)、A.ロドリゲス選手(ヤンキース)が選出されなかったことで連続出場年数は現役最長となり、出場回数でも、 ジーター選手、リベラ投手(ともにヤンキース)の10回に次いで3番目に多い数字となった。 ベンチでの存在感、他の選手から向けられるまなざし、ファンへの対応どれをとっても、オールスターに欠かせない存在であることを改めて見せてくれた。 リンスカム投手(ジャイアンツ)と対戦した第1打席の初球では、マドン監督(レイズ)との約束通り、ホームランを狙ったスイングを見せるなどイチロー選手自身もオールスターを楽しんでいるようであった。 試合はネイサン投手(ツインズ)、パペルボン投手(レッドソックス)、リベラ投手という強力クローザー陣を擁したアメリカンリーグが4対3でナショナルリーグを振り切り勝利。 これでアメリカンリーグの連勝は1引き分けを挟んで「12」となり、ワールドシリーズのホームアドバンテージを手にすることになった。

キング覚醒
オールスターも終わり後半戦に突入したが、マリナーズは貯金の数を7個にまで増やし好調を維持している。 この流れを作っているのが、今回のオールスターにも出場した'キング'ことフェリックス・ヘルナンデス投手である。 このヘルナンデス投手、2005年から本格的に先発ローテーションに定着し、翌年からは毎年2桁近い勝ち星を挙げ、 エースとしてチームを引っ張ってきたが、時折見せる精神面での不安定さから、信頼されるエースになるにはもう一皮むける必要があった。 しかし今年は春先にWBCのベネズエラ代表に選ばれ、国際大会の厳しさを経験し、ピンチになっても動じない精神的な強さを身につけたのではないかと思う。 5月に一度成績を落としたものの、最近の10試合の先発では75イニングを投げて自責点11、防御率1.32と真のエースとしてふさわしい活躍を見せている。 現在勝ち星はリーグトップに並ぶ「11」、防御率は2.45とリーグ2位につけ、このままの調子を維持できれば、シーズン終盤にはサイヤング賞争いに絡んでくる可能性も十分にある。 何よりもマリナーズが今後プレイオフに進出するためには、彼の力なしでは考えられない。

首脳陣の示した方向性
しかし昨年101敗を喫したチームがなぜたったの半年でプレイオフ争いをできるチームに変貌することができたのだろうか。 その要因を探りながら前半戦を振り返ってみると、GM・監督の二人がチームの方向性をいち早く選手に示せたことが大きいように思う。 シーズン開幕前からザーエンシックGMが選手補強で'守備力'の強化を示せば、ワカマツ監督は戦力を正確に判断し、攻撃力不足を補うために、 'つなぎ'の野球を徹底させてきた。この二人の示した方向性はシーズンの中盤になっても全くぶれることがなく、徐々に選手たちへの浸透度も増してきている。 ここ最近の戦いぶりを見ていると、選手たちは自分の役割を明確に理解し、自分のやるべき仕事に専念できているように思う。 これからシーズンが進むにつれてよりチームの成熟する姿が見られるのではないだろうか。 またこの二人に共通するのは、甘えを許さない'厳しさ'を持ち合わせている点だろう。 その象徴とも言うべきものがベタンコート選手のトレードだったように思う。身体能力が高く、打撃でも非凡なセンスを見せていたベタンコート選手だが、 安定性の欠ける守備やつなぎの意識のないバッティングはワカマツ監督の戦い方とはマッチせず、スプリングトレーニングからプレーの改善を求められていた。 しかし改善が見られないと判断され今回のトレードに至ったわけである。2割を打っていないが、安定した守備を見せ、 つなぎの意識のあるセデーニョ選手がスタメンに名を連ねていることからもワカマツ監督の戦い方が分かるだろう。 このようにいつもは選手のことを第一に考え、必要な時には断固たる態度を取ることができる首脳陣がいることが今の好成績に繋がっているのではないだろうか。

プレイオフに向けて
アメリカンリーグ各地区の成績を見てみると、西・中・東3地区とも上位3チームが5割を超えており、 各地区の優勝争い、またワイルドカード争いは実質この9チームに絞られた。マリナーズも地区首位のエンゼルスと5.5ゲーム差と厳しい状況ではあるが、 まだプレイオフ進出への可能性を残している。イチロー選手も前半戦終了時点のコメントで「チームとして生きている状態で後半戦に入るのは久しぶりですからねえ。 そこは懐かしい感じがするねえ。この何年か、ひどい状態だったからねえ。勝敗よりも感覚だよね。感じがなんとなくいいもんね。」と後半戦へ向けてチーム状態の良さを言い表した。 トレードデッドラインの7月31日まで残り1週間余りとなったが、ビダード投手やバティスタ投手など今年で契約の切れるベテラン選手たちが好成績を残しているだけに彼らの動向も気になるところである。 チームの若返りを図りながら、プレイオフ進出に向けて戦力補強をするという最も難しい選択を迫られることになるが、ここまでのザーエンシックGMの戦力補強を見ると明確な意図が感じられるので、 今後の動きも非常に楽しみである。残りの1週間、チームの成績とともにGMの動きにも注目して見ていきたい。

(記事: アキムラ・サトシ 2009年7月23日著)

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